時効の消滅・中断・完成後の対応

時効とはなんでしょうか?
債権は権利行使が可能であるのに何もしないで放置しておくと一定期間を経過して時効が成立して消滅してしまいます。

時効とは真実の権利関係に関係なく継続した事実状態をそのまま権利関係として認め権利を取得させたり、消滅させたりする制度です。

この意味は社会の法律関係の安定を図る、証拠を長期間保存しておく困難を回避する、権利の上に眠る者は保護しないなどの理由があります。
反面、時効には真実の権利者を犠牲にするという反倫理的な面もあるため時効を認めにくくする援用、中断、停止、放棄などの制度も用意されており、債権者としてはこれらの制度を有効活用して時効消滅に対処する必要があります。


*時効の消滅

債権の消滅時効期間は以下のとおりです。

期間   債権の種類

10年  一般の民事債権
     確定判決、裁判上の和解、調停などによる期間延長

5年   商事債権
     定期給付債権
     医師、産婆、薬剤師の債権

3年   技師、棟梁、請負人の債権
     手形債権
     不法行為債券
     PL法の製造物責任

2年   生産者・卸売商人・小売商人の代金債権
     居職人・製造人の債権
     校主・塾主・教師・師匠の債権
     弁護人・公証人の債権
     給料債権

1年   労働者・芸人の債権
     運送費の債権
     旅店・料理店・貸席・娯楽場の債権
     動産の損料
     手形の遡求権

半年   小切手債権


*時効の中断

債権回収が完了しないまま消滅時効の完成が迫ってきた時は速やかに時効中断の措置を執り、それまでの時効期間の経過を振り出しに戻しておく必要があります。  
中断事由には以下の3つがあります。

(1)請求・・・・・・・・・・・・・・・債権者側の行為
(2)差押え・仮差押え・仮処分・・・・・  同上
(3)承認・・・・・・・・・・・・・・・債務者側の行為

中断方法の選択としては費用・時間・手間などのコストを考えて裁判所を経由しないでできる承認と催告を検討します。
承認とは債務者が債務の存在を認めることであり、万一時効が成立していた場合は時効利益の放棄として時効消滅を阻止できるメリットがあります。
法的手段を執るほどの深刻な事態にはなくお互いの交渉によって債務者の協力が得られる段階であれば有効な手段といえます。

具体的には債務者から債務承認書をもらえれば確実ですが、債務者から支払い猶予、減額、一部の返済、利息の支払いを受けることにより承認が成立します。
他の方法としては催告がありますがこれは催告後6ヶ月以内に他の中断方法を執らなければ中断の効力を発揮しません。
時効完成直前に6ヶ月の時間を稼ぎ他の中断方法を準備したり、さらに回収方法を進めたりする場合に活用します。
具体的には配達証明付の内容証明郵便で請求を行います。

以上が裁判所を経由せずコストがかからない中断方法です。


*時効完成後の対応

万一債権の時効が完成しても援用、放棄といった制度が活用できます。
時効は債務者ら直接利益を受ける者、つまり援用権者がその利益を受ける旨を主張(援用)しない限りは効力を発揮しません。
よって、時効の完成後であっても債務者が援用するまでは時効消滅を阻止できる可能性があるということです。

時効の利益は時効完成前には放棄できませんが、完成後は自由に放棄でき、結果として債務者は時効援用権を失います。
よって債務者が時効の完成を知らずにいて時効の援用のなされる前に時効中断事由と同様の債務承認行為をさせることができれば時効の中断は可能となります。
すなわち、債務者に対して時効の完成を気づかれぬように債務承認書あるいは残高確認書をもらうなどの他、債務の一部返済や利息の支払いなどを受けることが具体的な対応です。

その他時効消滅した債権であっても債権者自身が債務者に対して債務を負っている場合はこれと相殺することも可能です。
ただし、相手方に債務を負っている第三者に債権を買い取ってもらって相殺することはできません。

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